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大迫傑はなぜ走る?…リオオリンピックを終えて

6月に開催された第100回日本陸上競技選手権において5000mと10000mで優勝し、リオデジャネイロ五輪に日本代表として出場した大迫傑選手(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)。

特に10000mでは「リオでは入賞を狙う」と目標を掲げていたが、17位でレースを終えた。また、5000mでは全体28位で予選敗退だった。

どのような思いでこの大会に挑み、そして終えたのか。レースを終えたタイミングで、リオデジャネイロ五輪に対する率直な感想を大迫選手に聞いた。

「10000mに関しては特に気持ちを入れて臨んでいたところではあり、特に10番以内はタイムを見ても狙えたのですが…悔しかったです。5000mに関しては決勝進出を狙っていたが、残れなかったことは悔しい」
■大舞台で走るということ

目標達成のためには何が足りなかったのか。

「特にどこが(足りなかった)というのはない。振り返ると入賞はやはり力的に難しかったと思うが、トップ10に関してはリラックスするべきところでもう少し力が抜けていたら狙えた。リラックスするところでリラックスできなかった。ペースが上がったり下がったりするタイミング)で力みが出てしまったり」

オリンピックという大きな舞台でも、「この試合で大きく変わったこと、これがダメだと感じたところはない。結果は結果。今まで通りやっていくだけ」と淡々と述べる。

大舞台であることは特に意識せず、「いつもどおりを心がけたというか、普段通りの大会に臨むイメージだった。他の国際大会と異なるところはなかった。普段と同じように緊張したし、レース前の興奮も普段と同じようにあった」という。

ただ、「普段と変わることはない」と繰り返し述べた大迫選手でも、五輪という舞台ならではの応援を感じることはあった。長野県佐久市で、佐久長聖高校出身の大迫選手を応援するパブリックビューイングが行われていたのだ。このことに触れると、淡々とした調子から、口元を少しだけ緩め喜びを口にした。

「それはオリンピックと世界陸上の違うところだと感じた。そうやって知らない人までパブリックビューイングで応援してくれるのは力になった」

オリンピックに向けた練習で意識したことはあったのだろうか。大迫選手は、シューズの履き分けについて説明してくれた。

テンポ走、ペース走では『ナイキ ストリーク6』を使用してきたという。このストリークシリーズはお気に入りで、2年ほど前から履き続けている。スピード系のトレーニングでも足に負荷がかからないように『ストリート6』にピンをつけ利用することもある。

「使用頻度が高く、反発性、クッション性のあるお気に入りの一足です」

今シーズンのナイキのシューズは、スピードをテーマにしたアンリミテッドカラー。大会を通して多くの選手がナイキのシューズを履いた。その姿にも大迫選手は注目していたようだ。

「5000、10000mの決勝などでも(アンリミテッドカラーが)目立っていて、個人的にも印象的。今年のカラーというふうに捉えていた。一般の人にも強い印象だったのでは」
4年後には東京五輪を控えている。

「地元開催ということで大きな目標にはなっているが、そこに向けてどうやって自分の気持ちを作っていくか、その時にどうありたいかはまだまだこれから次第で、これから積み重ねていくもの」

「今までのベース、これまでの積み重ねがあるのはもちろんだが、身近なところから一歩一歩積み上げていく。その結果積み上げたものがどこに向いているか。まだどうなるかわからない。ただ、もちろん日本開催なのでメダルを獲得するのはひとつの目標です」

【次ページ なぜ走るのか】

■なぜ走るのか

ある程度レースについて聞き終えたあと、私自身が陸上選手にインタビューする機会があったらぜひ聞いてみたかったことを、恐る恐る聞いてみた。

私はサッカーをずっと続けてきた。バスケットボールやテニスなど他の球技も変わらないと思うが、サッカーは「走る」という行為が競技において過程として存在する。例えば、「ゴールを決めるために走る」といった具合に。

しかし、その「走る」という行為自体を人生を懸けて追い求めている陸上選手は、「走る」という行為をどう自分の中で位置づけているのか、ずっと気になっていたのだ。なぜ走るのか、どういったモチベーションで大迫選手は走っているのか。

「陸上の結果であるとか順位、目標であるのがサッカーと同じように、ポジションによって違うとは思うが、ゴールなどに置き換えられるのだと思う。そのためにトレーニングを積んでいるし、記録が伸びていくことが嬉しいのかな。走っていること自体が楽しいということはあまりない。練習ごとに達成感みたいなものはあるが、走っている時に楽しいなどは考えないかな」
走っている時にはどんなことを考えているのだろう。

「サッカー選手がボールを追っている時、野球選手がボールを追う時、もしくは打席に立っている時。または水泳選手が泳いでいる時。うまく言いづらいが、それぞれがやっているスポーツと同じだと思う」

少し悩んでそう話してくれた大迫選手は、「逆に、サッカーはどういった思いでしていました?」と私に逆質問をした。

私は練習などでボールを蹴ること自体も楽しんでいたので、「走っていること自体が楽しいということはあまりない」と心情を明かした大迫選手とは、少し違う部分があるのかもしれない、と正直に伝えた。

「そうなんですね…」と俯いた大迫選手は、ゆっくりと言葉を探してくれた。

「もちろん走るのが嫌いだったらやっていないと思うが、自分を追い込むことが好きになるのはなかなか難しい。やはり、いい練習ができたときの達成感とか、記録が縮まったときの喜びとかなんだと思う」

次の舞台はロンドンでの世界選手権だ。

「来年ロンドンがあるのでそこでしっかり結果を出すこと。10000mではトップ10、8を目指していく。5000mに関しては決勝進出を目指す。4年後、8年後もオリンピック狙えると思うので、そこで結果を出すためにトレーニングを積みたい」

日本陸上界のホープ、大迫選手の挑戦はまだまだ続く。

《大日方航》

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